現在WindowsをはじめとするほとんどのOSがこれをオリジナルとしていることから、
これがすべてのはじまりであった。
1981年に発表されたIBM PC(といってもアップルはマッキントッシュ以前に1977年頃のAppleをはじめ、リサ(ジョブズ、娘の名前を製品名にすんなよな)とか、初期の大ヒット製品 Apple IIなどをパソコンとしては先に世に送り出しており、当時コンピュータ界のドンIBMが大衆向けに出した初めてのパソコンがこれ)はコンピュータに命令をキーボードで打ち込むいわゆるDOSというOSだった。
もしや知らない人もいるかと思って慌てて補足するが、Windows98の下にもDOSが走っているのでWindows使ってる人は2つのOSが同時に走っていると理解しましょう(すっかり偉そうなオレ様)。だからなんやねん。
ただし、IBMがライセンスを放棄したことでIBMクローンのPCが各メーカーから出荷される。いわゆる以後Windowsが走ることになったハードウェアであるPC/AT互換機が世界を満たすことになる。
アップルは一時期OSをライセンス供与し、マック互換機を市場に送ったがジョブズ復帰後(なりゆきは後述)ストップさせ、基本的にハードウェアとソフトウェアをアップルのみで提供するという孤高の立場を選択した。
これは、市場に出回ってるほとんどのマシンで動作するWindowsとの大きな違いだ。
MacOSがPC/AT互換機上で動いていたら.....(これについてはのちほどびっくりしろ)
まだWindowsが誕生する以前、ビル・ゲイツはマッキントッシュのテクノロジーこそ業界標準になるべきだと考え、大手メーカーへOSのライセンスを供与するようアップルに働きかけている。
アップル以外からマックが発売されれば、競争も生まれるし、第一、普及という点で大きい。
この時点でビルはOSではなく、OS上で動作するソフトウェアで儲けようと考えていたようだ(腹の中は知らんが)。
ビル・ゲイツはそののちアップルの面々が思っていたのとは裏腹にアップルを競争相手とは見ていなかったようだ(腹黒の中は知らんが)。
アップルのテクノロジーを賞賛しまくっていたのだ。
が、当時発言権を大いに乱用していたアップルのジョン=ルイ・ガセーという男(ジョブズの後継的なカリスマフランス人であった)はこう言いのけた。メルシボク。
「マーケットシェアなどくそくらえだ、マッキントッシュは芸術作品であり、
テクノロジーの優位さはどこにも負けていない、価格も高く維持すればシェアが少なくても利益は多い。ウイ。」
たしかにシェアをとるために価格を下げ、結果シェアはとれても粗利は少なかった。
たしかにこの時点ではテクノロジーでアップルに優るものは実際なかったので、わからんでもないけれど。
ということで、非常に重要なポイントであったライセンス供与はぽしゃった。
やっぱりアップルはシェアの奪回に向かうべきだったんだろうと思う。
ジョン=ルイ・ガセーはアップルをクビになった後、Be社を設立し、BeOSという優れたOSを作った。
ガセーはアップルでの経験をふまえ、BeOSを大衆の届く価格に設定した。
この本を読むと人物相関図があったらよりおもろいだろうと思う。ガセーがBe作ったって知ったときもまじ驚いたもん。
アップルのxxxxは、辞めたあとマイクロソフトのxxxxになったとか、xxxxx社のCEOになったとか、xxxxという会社を設立しただとか、シリコンバレー付近の人間の流れがおもろい。
初代マック登場以前にアップル、いやジョブズにはアップルをまともに経営していく人物が必要だった。
ジョン・スカリー。
長年2位に甘んじていたペプシコーラを、米国の炭酸飲料業界で不動の1位だったコカコーラを抜いてマーケットシェア1位にした人物。
この20年で一番長くCEOを勤めた(10年か?)彼の自伝「ジョン・スカリー」もこの後読んで非常におもろかった。
ジョブズの以下の言葉でスカリーはアップル行きを決意する。
「あなたは一生砂糖水を売って過ごすつもりですか?それとも世界を変えるチャンスに賭ける気はありませんか?」
アップルのマイクロコンピュータ(当時はパーソナルコンピュータとは呼んでなかったらしい、マイクロの方がかっちょいいぞ)登場以来、星の数ほどの新興企業がゴールドラッシュさながら金儲けに走った中、アップルだけは違った。
彼らは本当に世界を変えるつもりでいた。
大まじだ。
それは上層部だけでなく、開発者レベルまでものの見事に浸透していたようだ。
その自由な雰囲気や開発体制その他諸々において、アップルで働きたがる連中が殺到し、とにかく凄かったようだ。
Windows1.0登場でアップルは明らかにマッキントッシュの模倣であるこのOSに対して訴訟をおこすが(ってWin1.0見たことないけど)、GUIのアイディアはもともとゼロックスのものであり(ゼロックスは製品化にはこぎつけなかったが)、マッキントッシュもWindowsもゼロックスを父としているとゲイツは(こともあろうに)力説している。
また、当時かかれた正式な書面で将来についてもこれを許してしまったため(アップルの凡ミス)、Windows95というほんとにマックにそっくりな外観のOSが登場することになる。ボクは以前CD-ROMショップで働いていたのでWindows3.1はそこそこ操作していたが、これは非常に使いづらかった。ファイル名もまだ8文字.3文字という制約があったし。
つーかWindows95(ま、98も同じく)とかって何がイヤかってすごく窮屈な感じがするんよ。1つの文字通りWindowの中に閉じこめられていろんな操作するって感覚がどうもなじめないんすね。アプリ開くとウィンドウいっぱいにきっちり隙間なく開いちゃうし、苦しい〜って感じ(笑)
比べてマックはなんかなんでもありというか、開放された操作感がある、自分にとっては。
が......このころ(っていつ?)、すごい計画がアップル内にあった。
「スター・トレック・プロジェクト」
これはインテル・チップ搭載機(いわゆるPC/AT互換機)上でMacOSが走るという夢のようなプロジェクトだった。
これの意味がわかるかね!!!?わかるよね???
すでにWindows3.1がそこそこ使えると評判で(どう考えても3.1はカスだったけどね)マックのシェアは下がる一方だった。
Novellの開発者も参加し(このプロジェクトの項はおもろい)、プロトタイプまで進み、2〜3年で商品化できる地点まできていた。Windows95と同時期にリリースできる感じだったかも。
このプロジェクトにはほんとに胸躍らされる。
当時アップルの他の部門の開発者たちは絶対実現不可能なプロジェクトだと思っていたらしい。
今までアップルのハードウェア上でしか動作していなかったマックが、無名有名様様なマシンで動作する。
これがぽしゃったのは最大のアップルのミスだと思う。
ぽしゃった原因はこうだ。
インテルが急ピッチで高速チップを開発し続け、マイクロソフトの新OS Chicago(Windows95)出荷前に、アップルもIBM、モトローらと提携し採用する新チップ、PowerPCで動作するマッキントッシュを早急に開発しなければならない。シェアでなく、テクノロジー的に優位に立たれてはアップルの未来はないわけで。
のちのPowerMacっすね。
アップルの財政は常にどん底とそこからちょっとだけ抜け出すの繰り返しで、両者を同時に進行させる余裕はなかったのである。
二者択一。
アップルはPowerPC搭載のPowerMacを選んだ。
確かに世の流れとしてPowerMac投入の時期もここを逃したらいけなかったかもしれない。
わかるがスタートレックが消えたのはあまりに大きい。
いくつかおもしろい話が、
IBMとの合併話(ビル・ゲイツもこの本で初めて知ったとか。IBMとのセンセーショナルな提携とは別)
サン・マイクロシステムズによる買収(皮肉にももっと前にアップルがサンを買収候補に挙げていたりする)
アップルの知名度の方が高いので社名を「Apple」に、とまで言われるが蹴る。
アップルのローエンド向け市場と、サンのSolarisによる法人向けハイエンド市場、さらにインターネットにマイクロソフト以上に遅れたアップルにとってサンのJavaテクノロジーを考えると両社の合併後の未来は明るかったように思うが。
話が前後するが、マッキントッシュが華々しくデビューしてからわずか数年後のこと、あちこちに口出しするジョブズは社内の混乱を招き、いかんともしがたくなり、皮肉にも最高のペアであったスカリーから権限を剥奪され、解任、NeXT社を設立し、アップルより全然先に10年は早かったと思われるマイクロカーネル装備のNeXTSTEPというOSを作った(が、あまりに高額だったためあまり普及しなかった)。
CEOは、ジョン・スカリーからマイケル・スピンドラー、ギル・アメリオ、そしてあの男へ。
System7以後(日本では漢字Talk7)事実上次期OSコープランドを断念したアップルは早急にマイクロカーネルを装備し、メモリー保護、マルチタスクを実現する次期OSにとりかからなければ未来はなかった(MacOS 8とか8.5とかのことじゃないよ)。
いくつか候補がでたが、1から自社内で書くことは時間的に無理であり、ガセーのBeOS、ジョブズのNeXTSTEP、サンのUNIXなどのうち、NeXTSTEPが選ばれた。
NeXTはアップルに買収され、カリスマ/スティーヴ・ジョブズが還ってきた。
この本の原書(英語版)では、ジョブズによるニュートン・プロジェクトの廃止、マック製品ラインナップの大幅縮小、現在でもアップルの大きな指針となっているキャッチ" Think Different "などでちょっとどん底からは抜け出したかな、でも前途は決して明るくない、てなかなりマイナスな沈んだノリで終わっているが、日本語版では16章の終わりを変更、新たに17章を足している!
この17章があって救われるよ、まったく。
以下17章より
1998年、暫定CEO状態のジョブズ。
普段と違い、髭を剃り、スーツを着、報道関係者、アップルの従業員の前に現われた。
ちょうど14年前の1984年、初代マッキントッシュの御披露目と場所も含め、まったく同じシチュエーションだった。
ジョブズが発表したアップルの新製品はこれまでのパソコンとはなにやら違っていた。
iMac。
ディスプレイには初代マッキントッシュが「hello」と表示していたのに答えるように
「hello (again )」とあった。
とはいうものの、この本はiMac発売前で終わっているのでやはり「アップル復活!」てなノリでは終っていない。
詳しい数字とかはわからないが、iMacは明らかに成功した(もちろんのちの5色iMacの大成功も!)
ポリタンクG3、白リンゴのニューPowerBook G3も。
そしてiBookの反響(少なくともボクの周辺での国内の熱狂ぶりは期待度高し!
実際売れるかはフタを開けてみんとね)
そしてMacOS X(これはよくしらん).....
マックが好きで(理由はなくてもいい)マックを使っているひとには是非読んでもらいたい本だ。
(上)の序文であのガイ・カワサキが「本書に記されていることがらの大半はアップルの熱烈な愛好者にとっては読むに耐えないものではあるが...」としているが、
カワサキくん、楽しんで読んだよ、ラブだよ。
いざ読まん。
夏休み読書感想文終わり。
そう、ボクの感想文は記憶ではストーリーのあらすじをかいつまんで1割くらい「こう思う」と足したような「それ感想文ちゃうやん」なものなわけで、これもまたそんな中の一品。ことえりなみに学習してないなオレ。